裏声が弱い・出しにくい人必見!鍛え方と発声のコツ

「高い音になると声がかすれる」「裏声がうまく出せない」「カラオケで高音になると急に声が細くなる」
——そんな悩みを抱えていませんか?

裏声は、歌を上達させるうえで欠かせない技術のひとつ。
しかし、正しい発声や練習方法を知らないままトライしても、うまく出せなかったり、喉を痛めてしまうことも少なくありません。

本記事では、初心者でも安心して実践できる裏声の鍛え方や発声のコツを、ボイトレの観点からわかりやすく解説します。
自宅でできる練習方法もステップ形式で紹介するので、今日からでも始められます。
歌に自信を持ちたいあなたへ、裏声を武器にするための第一歩を一緒に踏み出しましょう。

目次

1. 裏声とは?ファルセット・ヘッドボイスとの違いは?

「裏声」とひとことで言っても、実はその中にはいくつかの種類があります。
正しい知識を持つことで、トレーニングも効果的になります。
まずは基本的な定義と、それぞれの違いについて見ていきましょう。

裏声とは?

裏声とは、地声とは異なる発声方法で、高音域を出すために使われる声のことです。
一般的には、喉に負担をかけずに高音を出すときに使われます。
カラオケで高音を歌うときに自然と出ていることも多いですが、力んだり喉声になってしまうと、かえって声が出しにくくなります。

裏声の中にも細かい分類があり、特によく使われるのが「ファルセット」と「ヘッドボイス(頭声)」です。

ファルセットとは?

ファルセットは、声帯をしっかり閉じずに隙間を開けたまま振動させて出す裏声です。
声に「スカスカ」「かすれた」ような響きがあり、やわらかく軽い印象になります。
よく洋楽のバラードなどで聴く、繊細で息が多く混じったような高音がこのファルセットです。

【特徴】

  • 息漏れが多く、声にハリが少ない
  • 声帯の振動範囲が狭く、ピッチのコントロールが難しいことも
  • 初心者でも出しやすいが、響かせるには工夫が必要

ヘッドボイス(頭声)とは?

ヘッドボイス(または「頭声」)は、声帯をしっかり閉じたまま高音域を出す発声法で、ファルセットよりも芯があり、響きが強いのが特徴です。
名前の通り、頭部の共鳴腔(きょうめいくう)を使って響かせることで、クリアで通る高音になります。

【特徴】

  • 声帯がしっかり閉じていて、息漏れが少ない
  • 声に芯があり、力強さを感じる
  • 声を「頭の上」や「額の奥」に響かせるような感覚

ファルセットとヘッドボイスの違い

項目ファルセットヘッドボイス
声帯の状態閉じきらず隙間ありしっかり閉じる
息の量多い(息漏れあり)少ない(息がしっかり支えられている)
響き方やわらかく軽い通る・芯がある
出しやすさ比較的簡単要トレーニング

どちらが良い・悪いというわけではなく、使い分けが重要です。
曲の雰囲気や自分の声質に合わせて、表現を広げるための武器にしましょう。

地声との違いにも注目しよう

地声(チェストボイス)は、胸に響きを感じる発声法で、話し声に近い響きがあります。
地声から裏声へ、スムーズに切り替えられないと、声が「ひっくり返る」「裏返る」といった問題が起こります。
これは初心者に多い悩みのひとつですが、後述のトレーニングで改善可能です。

裏声を使いこなせるとどうなる?

裏声をうまく使えるようになると、以下のようなメリットがあります。

  • 高音域が安定して出せるようになる
  • 喉の負担が減り、長時間歌っても疲れにくくなる
  • 曲の表現力が広がり、プロっぽい歌唱になる
  • 地声とのミックス(ミックスボイス)も習得しやすくなる

まずは「裏声とは何か?」をしっかり理解し、自分の声に合った発声方法を見つけていくことが、上達の第一歩です。

2. 裏声が出しにくい・弱くなる原因

裏声を出そうとすると「声がひっくり返る」「弱々しくて聞こえない」「そもそも出し方がわからない」と感じる人は少なくありません。
これは決して才能やセンスの問題ではなく、正しい発声方法や身体の使い方を知らないことが主な原因です。
このパートでは、裏声が出しにくくなる代表的な原因と、その根本的な理由を整理していきましょう。

原因1:喉に力が入りすぎている

多くの人が陥りがちな落とし穴が「喉声」です。
高音を出そうとするあまり、喉に力が入り、声帯がガチガチに閉じてしまう状態です。
この状態では、裏声に必要な繊細な声帯のコントロールができません。

【チェックポイント】

  • 高音で喉が苦しくなる
  • 声が硬く、伸びがない
  • 録音した声が「叫んでいるように」聞こえる

【解決のヒント】
喉の力を抜いて、腹式呼吸を使った支えを意識することが大切です。
リラックスした状態で、声帯が自然に動ける環境を整えましょう。

原因2:息のコントロールができていない

裏声、とくにファルセットでは「息の量」が非常に重要になります。
息を吐きすぎると、声がスカスカに。逆に足りないと、音が途切れたり裏返ったりします。

【よくある状態】

  • 息を一気に吐きすぎてすぐに苦しくなる
  • 小さな声しか出ず、聞き取りづらい
  • 息の流れが不安定で音程がブレる

【解決のヒント】
まずはロングトーン(息を一定に保ちながら発声)を取り入れ、息の量とスピードを安定させる練習が効果的です。
後述のトレーニングで詳しく解説します。

原因3:共鳴腔の使い方がわかっていない

裏声を響かせるには「共鳴(きょうめい)」の意識が重要です。
とくにヘッドボイスでは、頭部の共鳴腔を使って声を響かせる必要があります。
しかし、初心者の多くは響かせる感覚がつかめず、「空気だけが抜けるような声」になりがちです。

【よくある状態】

  • 声が響かず、音量も小さい
  • 声が「鼻にかかる」感じになる
  • 響くポイントが見つからない

【解決のヒント】
共鳴腔を使うには、まず「鼻腔の奥」や「頭の中(額の裏側)」に声を通すイメージを持ちましょう。
ハミングやリップロールは、その感覚を養うのに効果的です。

原因4:地声との切り替えがうまくいかない

裏声に切り替えようとして「声が裏返る」「一瞬音が抜ける」という悩みもよく聞かれます。
これは、地声と裏声の筋肉の使い方が極端に違うことによる現象です。

【声帯の仕組み】

  • 地声:甲状披裂筋が優位に働く
  • 裏声:輪状甲状筋が優位に働く

つまり、発声の切り替えは「別の筋肉を瞬時に使う」ことを意味します。
慣れていないとコントロールが難しく、ひっくり返るのです。

【解決のヒント】
地声と裏声の中間であるミックスボイス(地声と裏声のバランス)を意識すると、自然なつながりができてきます。
これも練習で徐々に身につけることができます。

原因5:「裏声=弱い声」という思い込み

意外に多いのが、裏声は「オマケの声」「弱くて使いにくい声」という固定観念です。
その思い込みが、発声にも現れてしまい、無意識に「弱々しい声」を出してしまうことがあります。

【実際は?】

  • プロのシンガーは裏声を自在に使いこなしている
  • 高音の表現力には欠かせない要素
  • 裏声を強く響かせることも可能

【解決のヒント】
裏声も立派な「表現手段」として使えると理解することで、心理的なブレーキが外れます。
堂々と使うことが、裏声上達の第一歩です。

裏声が出しにくい人の傾向まとめ

問題点原因改善の方向性
喉が苦しくなる喉声になっている力を抜く、腹式呼吸を使う
声がスカスカ息の量が多すぎる息の流れを安定させる
響きがない共鳴腔が使えていないハミングやリップロールで感覚を養う
声が裏返る地声と裏声の切り替えがスムーズでないミックスボイスを意識する
声に自信が持てない裏声への苦手意識正しい理解と練習で克服可能

裏声が出しにくい原因は、身体的・技術的な要素だけでなく、心理的なブロックも大きな要因です。
次の章では、こうした課題を乗り越えるために、実際に自宅でできる具体的な練習メニューを紹介していきます。

3. 裏声を鍛える!効果的なボイトレ方法

ここからは、裏声(ファルセット・ヘッドボイス)を出しやすくし、しっかりと響かせるための実践的な練習方法をステップ形式で紹介します。
どれも自宅でできるトレーニングなので、今日からすぐに取り入れることができます。

【ステップ1】正しい姿勢と腹式呼吸を身につける

裏声の安定には、まず身体の使い方を整えることが大切です。
とくに腹式呼吸は、喉に余計な力を入れずに息をコントロールする基本となります。

姿勢チェック

  1. 足を肩幅に開いて立つ(イスに座ってもOK)
  2. 背筋を伸ばし、胸を張らない(リラックス)
  3. 首や肩に力を入れない

腹式呼吸の練習方法

  1. 鼻から息を吸い、お腹がふくらむのを意識
  2. 口からゆっくり吐き、お腹がへこむのを感じる
  3. これを5回ほど繰り返す
  4. 声を出さずに「スーッ」と息だけ吐いて、コントロールを意識

この練習は、発声前のウォーミングアップとして毎回行いましょう。

【ステップ2】ハミングで共鳴腔の感覚を養う

裏声を響かせるには「共鳴腔(きょうめいくう)」の使い方がカギです。
その感覚をつかむのにぴったりなのが、ハミング(口を閉じたまま「んー」と鳴らす練習)です。

ハミング練習法

  1. 軽く口を閉じて「ん〜」と発声
  2. 鼻や顔の奥が振動する感覚を探す(これが共鳴)
  3. 響きが額の裏側や頭に抜けるように意識する
  4. 高めの音から徐々に上げていく(無理はしない)

この練習で「声が響く場所」がわかるようになります。
最初は小さな声でOK。
毎日5分続けると効果が実感できます。

【ステップ3】リップロールで喉をリラックスさせる

リップロールは、唇を震わせながら声を出す練習です。
喉の力みを取って、スムーズな裏声につながります。

やり方

  1. 唇を軽く閉じて「ブルルル…」と震わせる
  2. 声を乗せて「ぶるるる〜♪」と音階をつけてみる
  3. 声が裏返らないようにゆっくり行う
  4. 無理に音程を上げず、心地よい範囲で続ける

声帯の緊張が取れ、自然な裏声への移行がしやすくなります。

【ステップ4】ファルセットを出す練習

いよいよ裏声の基本であるファルセット(息が多めに混じる裏声)を実践します。

練習方法(母音「あ」で行う)

  1. 力を抜いて、ささやくように「あ〜」と発声
  2. 声に息が混ざっていればOK
  3. 響きを頭に抜けさせるよう意識
  4. 「あー→いー→うー→えー→おー」と母音を変えて発声

最初は弱くてかまいません。
大事なのは「喉に力を入れずに音を出す感覚」を身につけることです。

【ステップ5】ヘッドボイスで響きを強くする

ファルセットよりも芯があり、響きのある裏声がヘッドボイスです。
しっかり鍛えればカラオケでも使える「使える高音」になります。

練習方法

  1. 先ほどのファルセットより少し強めに発声
  2. 額や頭に声を響かせるイメージ
  3. 「ウ〜」「イ〜」など明るめの母音がやりやすい
  4. 高音に近づけるにつれて、喉ではなく「頭に抜ける」よう意識

はじめは裏返ったり、響かなくても大丈夫。毎日練習を積めば、少しずつ通る声に変わっていきます。

【ステップ6】地声と裏声をつなぐミックスボイス練習

地声と裏声の行き来がうまくなると、裏声が「使える声」になります。
その橋渡し役がミックスボイスです。

スライド発声(地声→裏声)

  1. 地声で「お〜」と発声
  2. 少しずつ音程を上げていき、裏声に切り替える
  3. 声が裏返るポイントを探しながら、なめらかにスライド
  4. 裏声から地声へ戻る練習も行う

この練習を繰り返すことで、声区(地声と裏声)の切り替えが自然になり、喉の筋肉のコントロールも上達します。

【ステップ7】裏声で好きな曲を歌ってみる

練習の成果を実感するには、実際に歌ってみるのが一番です。
自分の好きなアーティストの裏声部分を真似してみましょう。

練習方法

  • 好きなバラード曲で裏声を意識して歌ってみる
  • カラオケで裏声パートを強調して歌ってみる
  • スマホアプリで録音して、響きや安定感を確認する

歌うこと自体がボイトレになるので、積極的に「裏声で歌う時間」をつくることが上達への近道です。

4. 裏声に関するよくある質問

裏声を練習していると、多くの人が共通してつまずくポイントがあります。
ここでは、初心者がよく抱く疑問やトラブルに答えていきます。

裏声を出そうとすると喉が痛くなります。どうすればいい?

喉に力が入っている可能性が高いです。

裏声は喉を締めず、リラックスした状態で出す必要があります。
痛みが出る場合は無理な高音を出そうとしているか、力んで声帯に負担をかけていることが多いです。

対策:

  • 発声前にハミングやリップロールでウォーミングアップする
  • 「ささやくような声」からスタートして徐々に強さを増やす
  • 喉が痛いときはすぐに練習をやめ、しっかり休む
裏声と地声の切り替えがスムーズにできません。

声区の境目(ブレイクポイント)を練習で慣らすことが必要です。

初心者が特に苦手とするポイントが、地声と裏声の切り替えです。
このスムーズな移行は、ミックスボイスの練習を通じて徐々に身についていきます。

対策:

  • 地声→裏声→地声のスライド練習を日常的に行う
  • リップロールを使って無理なく音程を上下させる
  • 無理な力を入れず、まずは「裏返ってOK」という気持ちで練習する
ファルセットとヘッドボイスの違いがよくわかりません。

息の量と響きの位置に違いがあります。

種類特徴
ファルセット息が多く混じった軽めの裏声。柔らかい印象
ヘッドボイス響きが強く芯のある裏声。頭に響く感覚

歌で使う場合、ヘッドボイスのほうが実用的で表現力が出しやすいです。
最初はファルセットから練習し、慣れてきたらヘッドボイスに移行するのが自然なステップです。

裏声で歌ってもカラオケでうまく響きません。

声量や共鳴が足りていない可能性があります。

裏声は地声に比べて小さくなりやすいため、マイクを通しても「聞こえにくい」と感じることがあります。

対策:

  • 共鳴練習(ハミング)で響きを強化する
  • ヘッドボイスの練習で声に芯を作る
  • マイクの距離を工夫する(近づけすぎず、一定に保つ)
練習しても裏声が上達している実感がわきません。

成長には時間がかかります。録音や記録で客観視しましょう。

毎日少しずつ練習していても、本人には変化が分かりづらいものです。
そんなときは録音して聞き返すのが効果的です。

対策:

  • 練習の記録を音声アプリで残す
  • 1週間ごとに録音を聞き比べてみる
  • 信頼できる第三者にアドバイスをもらう

まとめ – 裏声は誰でも鍛えられる!

裏声がうまく出せない、弱々しい、すぐ裏返る――そんな悩みは、決して特別なことではありません。
多くの人が同じように苦戦しながらも、練習を重ねて少しずつ改善しています。

本記事では、裏声の基礎知識から、うまくいかない原因、そして自宅でできる具体的なボイトレ方法までを丁寧にご紹介しました。
特にポイントとなるのは以下の3点です。

  • 喉に力を入れずに発声するための姿勢と呼吸
  • ファルセット・ヘッドボイスなど裏声の種類と使い分け
  • 毎日少しずつ積み重ねる地道な練習の継続

裏声は、筋トレと同じで、続ければ確実に変化が見えるパートです。
「昨日よりほんの少し楽に出せた」「録音を聞いたら響きが増していた」そんな小さな成功体験が、自信と歌唱力の大きな土台になります。

まずは、本日ご紹介した練習メニューの中から1つだけでも試してみてください。
たとえば、ハミングを5分やってみるだけでも、「声の通り道」が変わる感覚に気づけるかもしれません。

裏声の練習は自宅でも十分に取り組めますが、どうしても「このままで合っているのかな?」「なかなか上達しないな…」と不安になる瞬間もあるはずです。

そんなときこそ、プロの指導を受けることが効果的です。
ボイストレーナーは、あなたの声質やクセを的確に見極め、最短ルートで改善へと導いてくれます。

たとえば、

  • 裏声と地声の切り替えが不自然な方にはミックスボイスの導入
  • 響きが弱い方には共鳴腔の使い方や姿勢改善
  • 音程が取りづらい方には耳と声の連動トレーニング

など、自分だけでは気づきにくい課題にもすぐアプローチできます。

「一人で練習するのに限界を感じた…」「最短で上達したい!」と感じたら、ぜひボイトレサービスの活用も検討してみてください。

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この記事を書いた人

ボイトレライター。

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